狂気的で幸福な映画化
忌々しい高揚感がおさまり切らない。
そんな、「映画」を観た翌日に、その原作小説の文庫本を衝動買い。
二日で読了した。
あの特異な映画世界が、そのまま文体で表現されているとは端から思っていなかったが、
想像以上に、映画は独自のアレンジを展開していたのだということを知った。
肝となる筋、主立った登場人物の言動は概ねそのままだが、
この「小説」と「映画」は、まったく「別物」と言ってしまってもいい。
暗く深い情念を突き詰めた小説は、見事だったと思う。
事前に基本的なストーリーも、重要なオチも知っている状態でありながら、
一気に読ませた文体の熱量は凄まじいと思える。
ただ、あの「映画」を観た直後では、描き出される展開、そのテンションに、
物足りなさを禁じ得なかった。
物語の衝撃度において、映画の方が仰々しく見せていたというわけではないと思う。
ストーリーのエグさについて言えば、小説の方がよっぽどエグく、救いが無かった。
ただ映画の方が、キャラクター描写の多様さと、物語の核心である“加奈子”の悪魔性が際立っていた。
そのことが、果てしない渇きと絶望を終始突きつけながら、
唯一無二の“エンターテイメント”を構築していたと思える。
詰まるところ、紛れもない問題作の映画化にあたり、
その原作に依存すること無く、より自由で、より爆発的に、光を与えてみせたということだと思う。
それは、とても狂気的で、とても幸福な映画化と言えよう。
もちろん、もし原作小説を先に読んでいたなら、
まったく逆に印象を持ったのかもしれないけれど。
そんな、「映画」を観た翌日に、その原作小説の文庫本を衝動買い。
二日で読了した。
あの特異な映画世界が、そのまま文体で表現されているとは端から思っていなかったが、
想像以上に、映画は独自のアレンジを展開していたのだということを知った。
肝となる筋、主立った登場人物の言動は概ねそのままだが、
この「小説」と「映画」は、まったく「別物」と言ってしまってもいい。
暗く深い情念を突き詰めた小説は、見事だったと思う。
事前に基本的なストーリーも、重要なオチも知っている状態でありながら、
一気に読ませた文体の熱量は凄まじいと思える。
ただ、あの「映画」を観た直後では、描き出される展開、そのテンションに、
物足りなさを禁じ得なかった。
物語の衝撃度において、映画の方が仰々しく見せていたというわけではないと思う。
ストーリーのエグさについて言えば、小説の方がよっぽどエグく、救いが無かった。
ただ映画の方が、キャラクター描写の多様さと、物語の核心である“加奈子”の悪魔性が際立っていた。
そのことが、果てしない渇きと絶望を終始突きつけながら、
唯一無二の“エンターテイメント”を構築していたと思える。
詰まるところ、紛れもない問題作の映画化にあたり、
その原作に依存すること無く、より自由で、より爆発的に、光を与えてみせたということだと思う。
それは、とても狂気的で、とても幸福な映画化と言えよう。
もちろん、もし原作小説を先に読んでいたなら、
まったく逆に印象を持ったのかもしれないけれど。
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